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やはりまずは勉強でしょう

 投稿者:小田  投稿日:2007年 9月 5日(水)16時15分2秒
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  >その上で、その制度が最も不遇な人の待遇の改善に繋がると同時に、自分たちも安心して暮らせる福祉制度である点を、社会の多数を占める層に納得してもらわねばなりません。

>その過程では、経済的な立場の違いによる「政治的力関係」が鋭く対立する事もあるでしょうし・・・(高所得層である個人1の事後的所得は新自由主義路線のほうが福祉国家路線より大きい)、企業にとってみれば「新自由主義路線において有能な個人1はより多くの労働時間を供給する」という事実の方が、「国民の所得稼得能力sを高める為の教育政策・制度を独自に構想」する事よりも、確実に利益を齎してくれると考えるかもしれません。

グローバル化と投機的金融市場の影響力が高い現代の経済では、有能な個人や企業の状態改善が国民経済の状態改善に繋がるという構造(いわゆるトリックルダウン説が主張するところのもの)が弱体化している点が、「社会的連帯の文化」形成をより困難にしていると思います。製造業の生産性が国民経済の成長をリードしていた時代であれば、国民の労働能力を高める教育政策は国民国家の長期的展望という観点のみならず企業にとっても長期的に利益に適うということが容易に見えるわけですが、各企業が自社の短期的な株価動向により左右されている現代においては、手っ取り早いコストダウンによって短期的な収益性を確保し続けない事には自社株価の低下による乗っ取りのリスクを高めてしまいます。だから企業経営の観点では、アウトソーシングなり海外移転なりして、少しでも自社株価が低下しないように努力せざるを得ない、というわけでしょう。しかし国民経済の長期的観点からすれば、それらは国内経済の産業空洞化や生産技術の非継承・空洞化を進行させてとんでもない事になる事については、財界の人たちも理解していると思います。まあだから、産業空洞化させない為にも労働市場を規制緩和しろ、法人税をもっと切り下げろ、という理屈なのでしょう。

しかし、労働市場の規制緩和や法人税の切り下げに関しては仮に妥協したとしても、高所得者への課税や金融収益への課税などは強める正当性はあると思います。国民国家の長期的展望という観点に立てば、格差社会化や福祉制度の貧弱化や多くの労働者の貧困化は望ましい状況でないことは、財界の人たちであっても理解できる人たちは少なくないと思います。ただ彼らの多くは、格差化で「負け組」になるのは個人の努力や創意工夫が足りないからだという発想にすぐなります。しかし、そうした「自己責任」要因に帰着しきれる状況ではない事態になりつつある事も、そろそろ一般的な了解になりつつあると思います。日本の所得再分配機能を強化する事や国民の人的資本向上のための教育政策に相当の国家予算を割く事は、それこそ「愛国心」のある財界人であれば了解せざるを得ない筈だ、というアピールがあっていいと思いますし、それこそ「非新自由主義的・福祉国家的政策路線」に関しては、左翼系のみならず反米保守派や右翼の一部とも共闘できるだろうし、そうすべきだと思います。(政党でいえば、民主党、共産党、社民党のみならず、国民新党あたりまでが、共闘可能な情勢だと思います。) 憲法問題とかナショナリズムへの態度等で色々、意見の相違は大きいでしょうが、我々の住む社会の将来の興廃がかかっている問題ですから、マジに共闘して欲しいものです。

>そこで一回りして、自分が何を為すべきかという問題に向き直ると・・・

>とりあえず、もっと勉強をし、自分の周囲にも「議論」を起こす事から始めましょう・・・

やはり、まずは勉強しましょう。伊賀さんの場合、かなり理解力の水準が高いと思われますので、関心のありそうな人たちとベーシックインカムであれ、その他の代替的福祉社会論に関してであれ、勉強会を始める事で「議論」をリードすることもできるでしょうし・・。解らない事があれば、テーマによっては、私でも相談に乗れる事もあるかと思います。それから、mixiでも「ベーシックインカム」のコミュニティがあったりしますし、ウェブを見て廻るのでもかなり勉強になったりします。介護や社会政策に関心のある若い大学院生たちなどのブログなどでも、政治や経済の問題について、結構レベルの高い議論を真剣にやり取りしています。本の紹介なんかもあるから、役にも立ちます。介護や社会政策に関心のある若い人たちなんかは考え方も前向きだし、そういう人たちとの(ウェヴ上だけであれ)議論のやり取りは、懐古趣味的な新左翼系のブログや掲示板に比べて、全然元気付けられますよ(笑)。まあ、マルクスも経済学も知らないのが殆どですが・・(彼らの世代だと、ロールズやセンの思想・哲学なんですね。)

それから、規制緩和推進系の主流派経済学者がどんなロジックで発言しているかについても、勉強してみると楽しいですよ。規制緩和によって経済が効率化し、社会的厚生が高まるという主張をするわけですが、そこでいう社会的厚生の意味は、(金銭的に換算可能な)経済的便益の意味でしか考えていないのが専らです。そういう意味で、暗黙裡に功利主義の立場で考えているのが大抵であると思います。彼らの分析手法は中立的で科学的かもしれませんが、評価の基準は特定の規範的立場に基づく、その意味で「イデオロギー的」なものでもあります。規範的評価の基準を変えれば同じモデルと同じ理論分析手法であっても、最適値は変わってくるという事――ちょうど再分配ルールの選択問題モデルで、功利主義とロールズの違いとして私が示したように――を頭の隅に置いておけば、規制緩和推進系の主流派経済学者の本であっても勉強になります。
 
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