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国債暴落時のハイパーインフレ化

 投稿者:伊賀篤(管理人)メール  投稿日:2013年 3月 2日(土)07時07分38秒
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  (一度投稿したのに、teacupのサーバーメンテナンスで消えてしまったので再投稿です)

国債の市場価格が暴落した時に、もしも日銀が買い支えを実行したら、ハイパーインフレが必然である事を、ゲーム理論の初心者向けの「利得表」によってナッシュ均衡(支配均衡戦略)を表し、それが非協力というゲーム構造に由来して最善の利得を選択し得ないという、ある意味では「囚人のジレンマに類似した状況」が生じる事を示します。

一般的に「囚人のジレンマ」とは、各プレーヤーが相手の行動に関与できない非協力の状況下においては、自分は信頼するという「戦略」を選択した場合において、相手が裏切った場合を想定したら最悪の利得になる事を想定し、それを避ける為と、単独で信頼を続けるインセンティブが無く(より裏切りの方が利得が高く)、相互に裏切りを選択する事が「支配戦略」となってしまい、相互信頼という場合の利得を得られない事を指します。

ここで「類似した状況」というのは、「囚人のジレンマ」という状況が支配戦略になる為には、互いに「協調」を探る余地も無く単独での裏切りの利得が高い事=裏切りのディス・インセンティブが無い事も(恐らく)一つの条件でしょうから、これは正確には「囚人のジレンマ」ではありませんが…
正確には、これは「コーディネーション・ゲーム」と呼ぶそうで、互いに協調する余地が有り、効率的協調=互いに国債を売らない…という戦略を取る均衡と、非効率的協調=互いが国債を売る…という戦略を取る均衡と、その中間に混合戦略が有り得ますが、政府(日銀)は、この均衡のいづれかをプレーヤーが取るのか制御できない為、やはりハイパー・インフレの可能性は残される「失政」と呼べます。
(この内、互いに売らないという均衡は、70%の含み損を金融機関が抱える事になるので、除外できると思いますが)

また「暴落」いう現象で「コーディネーション・ゲーム」になるのは変だという事もありますが、これはこの「利得表」が…

インフレ期待⇒長期金利上昇⇒僅か2%程度のインフレ下でもバブル以来2%以下の利率で発行され続けた国債を大量に持つ金融機関にとって含み損が発生⇒信用不安発生⇒国債暴落⇒デフォルト回避の為に日銀が国債を買支えて市場に大量の通貨供給⇒ハイパーインフレ発生…という【シナリオ】

…を前提としており、つまり国債暴落が起きる事はゲームの【前提】に予めした上で、ハイパー・インフレ化が起きるメカニズムに焦点を当て、ハイパーインフレ化に寄与する大口の国債保有者のみを2人ゲームのプレーヤーとして選んでいるからであり、小口の国債保有者によって(現時点の様に長期金利が0.6%といった過去最低の国債バブル時で含み益が有る内に)先に「売り抜ける」といった、直接にハイパー・インフレ化に寄与はしないながら、暴落の引き金になる行動(つまり単独での「裏切り」の利得が「効率的協調」に勝る利得の場合)を、焦点をハイパー・インフレ化に当てる為にゲームの利得表から除外している為です。
(そこまでを盛り込む為には、自然数=N人のプレーヤーの「一般的ゲーム理論」にまで、ゲームを拡張する必要が有るでしょう…そういうゲームの一般的な表現にも今後は挑戦しますが)

●注1:下記の「利得表」の下の段の方では、プレーヤーを2人に限定してある単純化したモデル化の為に「信頼-裏切り」の組み合わせ時に、片方のプレーヤーが愚直に「信頼」を貫いた場合には日銀による通貨供給が半分になりインフレ率が半分になるという前提で、利得を「×2」倍してありますが、現実には自分が「信頼」を貫く事で利得が倍になるという期待は形成せず(多数のプレーヤーが市場には居る為)、この利得は「×1」に限りなく近づきますので、下側の利得表による「囚人のジレンマ的に類似した状況」は、もっと顕著な利得差となり、現実味を増します。
それに、日本の年間GDPの2倍にも上る、他国に類例を見ない国債発行残高で、国債の暴落が起こり、デフォルト回避の為に日銀が買支えるというパニック心理の状態で、ハイパーインフレ率の期待値が、(僅か)170%であるというのも、非常に控え目な前提です。

●注2:実際に日本のGDPの2倍に上る国債を、全て日銀が一挙に買い取った場合のインフレ率が僅か170%に収まり(下記※2:根拠)、更に単年度で収束するという下記の前提は、極めて【控え目】なものであるにも関わらず、それでも「囚人のジレンマ」が成立するのは下記の「利得表」の通りですが、仮に…その時の経済成長率が数%有ったとしても、下記下段の「利得表」関係(ナッシュ均衡)を変えるものにはなりません。
(理論的には変わる根拠がありませんし、実際に利得の格差は上記の●注1の様に大きくなりますので)

●注3:実際に、国債暴落はデフレ時では無く、当然ですがインフレ時の方が、この事態の発生確率は高まります。(長期金利の上昇で既発国債の保有者には含み損が発生しますから)

※1:根拠(国債暴落時に日銀の買い支えが無い場合、市場売却の場合の損率↓)
http://www.world401.com/saiken/jpn_hatan_kokusai.html
※2:根拠(↓…日本国債の95%は円建てなので対内債務に分類し、破綻発生年の平均インフレ率=単年度を参考)
http://www.world401.com/saiken/default_infre.html
※3:囚人のジレンマ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9A%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B8%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%9E
※4:長期金利の推移(過去10年)…これが既発国債の保障金利とほぼ同義です。これを見れば約定利子が2%を超えていない事が解ります。
(よって満期まで国債を保有していた場合の利得を下記の票では「1.02」としています)
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html
※5:下記利得表で、相手に裏切られても信頼を貫いた場合の利得の計算式「=1.02/(1+1.7)*2≒0.76」の説明ですが…「1.02」は満期まで保有していた時の利得、これを「(1+1.7)」で割っているのはインフレ率が170%というのは物価が2.7倍になる事で逆に保有する貨幣価値が2.7で割った値になる事を示し、最後に「*2」をしているのは2人ゲームで国債発行残高の半分近くを一人のプレーヤーが持っている前提から愚直に満期まで2人の内の1人が国債を保有し続ける事でインフレ率が半分になる事を仮定(最後の仮定は実際には「*1」に近くなります)

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